痛みの原因となる筋拘縮について理論的に説明をします。
- このページの前に「痛みの原因」のページをご一読ください。
- このページは専門用語がありますので、ご理解が難しい方は読み飛ばして頂いても問題ありません。(痛みの原因は筋拘縮と覚えておいてください。)
- 説明の途中に出てくる引用については専門的な言葉が多いため読み飛ばして頂いて問題ありません。
痛みの原因である筋拘縮について説明します。
「痛みの原因」で観音さまから説明がありましたが、イメージはできたでしょうか。
はい、イメージできています。
痛みの原因で筋拘縮で、筋肉が「短くなる」、「太くなる」、「硬くなる」特徴があるんですよね?
そして、筋拘縮は身体を守るための防御システムが過剰に働いている状態だということですね。
はい、そのとおりです。
筋肉には身体を守るための防御システムがあります。筋肉に負荷がかかると縮んで守れという信号が発生し筋肉が収縮します。(この収縮は、伸張反射または脊髄反射と呼ばれています。)
反射
筋膜性疼痛症候群(MPS)では、発痛点(トリガーポイント)などからの痛みを捉えた脳、脊髄が、反射により交感神経を働かせて、さらにトリガーポイント部及び周辺の筋肉の血管収縮を行わせることにより、再び酸素欠乏が発生し再び発痛物質が生成されるという悪循環が発生します。 これが、広範囲で疼痛が広がる筋膜性疼痛症候群(MPS)のメカニズムと考えられています。
(外部リンク:筋膜性疼痛症候群研究会(反射)より引用)
どこかで腰を打った,転んだ,重い物を持ち上げて,ぎっくり腰になったなどによる“一過性の大きな侵害刺激”や,毎日,車を運転したり,草むしりをしたり,スポーツをしたりすることによる“慢性的な侵害刺激”,あるいは裁判中など大きなストレス下にいるときに生じる“心理的緊張”などで,痛み神経が刺激されると,脊髄反射により筋肉がけいれん,緊張し,痛みが生じる(腰痛)というメカニズム(図1)です。
また,痛みがあれば,筋肉がけいれん,緊張するので,ますます痛みが強くなり,さらに筋肉がけいれん,緊張して痛みを強くするという悪循環を形成します。
(外部リンク:M-Review(Person 診療・研究の現場より)より引用)
伸張反射により筋拘縮が発生し、血流不足(酸素不足)や関節包を圧迫することにより痛みになります。
・・・伸張反射?イメージしにくいのですが、、、
伸張反射について具体的に話します。
脚気の症状を確認するために、昔は膝の下をポーン叩いて反応を見ていたことがあります。
この時に足が跳ね上がる現象が伸張反射なのです。
これ知ってます。見たことあります。
もう少し具体的に説明をします。
通常の筋肉の収縮は、脳からの命令により意識的に収縮させます。
このサイトを見ている時も、スマホで画面をタッチしたりPCでマウスを動かしているのも、脳から筋肉に収縮の命令を出して動かしているのです。
しかし、急激に負荷がかかる時は、脳からの命令ではなく、筋紡錘(脊髄)からの命令で収縮します。
以下のようなイメージをもっていただければ大丈夫です。
膝下と叩くこと(負荷)により、瞬間的に太ももの筋肉が伸ばされます。(太ももの筋肉は膝下まで繋がっています。)太ももにある筋肉の伸び縮みを感知するセンサー(筋紡錘)が反応し、急激に伸ばさせたことを感知します。
筋紡錘の反応は、神経を通って脊髄に伝わります。
脊髄より「縮んで守れ」という強いストレイン信号(収縮命令)が発生し、太ももに伝わります。
太ももが収縮し、膝下が跳ね上がります。(伸張反射発生)
伸張反射はなぜ脳を経由しないのですか?
伸張反射は、瞬間的に危険を感じた場合に起きやすいです。
そして交通事故や火傷しそうになった等の無意識の時に発生しやすいです。つまり、スピーディーに収縮する必要があるので脳で意識する前に収縮する必要があります。
つまり伸張反射でスピーディーに収縮しないと、身体を守ることができないということですね。
その通りです。
そして、伸張反射が拘縮発生の予測因子になると言われています。
伸張反射による関節拘縮の発生予測
臨床での体験や先行文献などから「拘縮が発生しやすいか否かは伸張反射で予測できる」という仮説の検証を行い、昨年の岐阜大会にて「伸張反射が拘縮発生の予測因子の1つとなる傾向がある」と報告した。今回は対象者を拡大(昨年の対象者条件から「膝伸展制限角度-30°未満」を除外)し、伸張反射と拘縮発生・進行(以下、発生・進行)の関係性を検証した。
【考察】
今回、対象者を拡大し伸張反射と拘縮発生・進行の関係性を検証したが、カイ2乗値とリスク比から考えると、仮説を立証できる有意差は得られなかった。しかし、亢進群の12関節中11関節においては亢進がみられてから発生・進行していた。このことから亢進が拘縮発生・進行の前兆となっている可能性があるのではないかと考えられる。
(外部リンク:伸張反射による関節拘縮の発生予測(国立研究開発法人科学技術振興機構)より引用)
つまり、伸張反射が筋拘縮の要因になっている可能性があるということです。
当院では、伸張反射のスピードが早すぎるために、筋肉と筋紡錘の状態にズレが生じる時があると考えています。
筋肉と筋紡錘の状態のズレが発生すると、筋肉に負荷がかかっていない状態でも、筋紡錘が筋肉に負荷がかかっている状態と勘違いをし、強いストレイン信号を出し続けて筋拘縮になると予測しています。
なるほど!
力を入れているつもりがないのに筋肉が硬くなってしまうのは、筋紡錘から強いストレイン信号が出続けているからなのですね。
はい、そのように考えています。
筋肉弛緩療法は筋肉と筋紡錘の状態のズレを解消する手技としてに誕生しました。そして2万人以上が痛みから開放された30年の実績がある手技です。
筋肉弛緩療法で痛みが改善する事例が非常に多いです。
わかりました。
筋肉弛緩療法について詳しく知りたいのですが、、、
筋肉弛緩療法の詳細について次のページで説明します。
まとめ
- 筋拘縮は身体を守るための防御システムが過剰に働いている状態
- 筋拘縮は伸張反射により発生する可能性がある
- 筋拘縮を解消する手技は筋肉弛緩療法
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